北海道初の「ハムベーコン専門店」を目指して

北海道の地で、日本人がはじめたハムベーコン作りとしては最も歴史があるエーデルワイスファーム。
1985年に一流シェフの要請で商品化され、今も数多くの百貨店などから引き合いを多くもらっています。
「本当に嬉しい事、ありがたいこと」とは思いつつ、会社が成長すればするほど代表である野崎は「数量を作る」ことより「ものづくりの本質」を多くの方々に残したい伝えたいと考えるようになっていました。

多くのメーカーはハムベーコンの歴史と作り方を正しく知らない

皆さん、ハムやベーコンがどのように作られているかご存じでしょうか?
「塩漬」したものを「熟成」させ、「燻製」しているというイメージをお持ちかと思いますが、国内で流通されている特に量販店で扱われているものの9割以上はそんな手間のかけた作り方をしていません。
塊肉にインジェクターという針を刺して、添加物や水を多く含んだ液を注入。10Kgの原材料があれば、20Kg以上に膨らませ、その後、乾燥や燻製、加熱処理をかけ16Kgになったものが扱われているのです。
驚きですよね。

また、近年、塩漬法も乾塩式、湿塩式などがあり、燻煙法も熱燻、温燻、冷燻とあって、本来の作り方はこれだと売り文句にしているメーカーさんもおられます。また、ハムやソーセージといえば添加物が多量に入っていると思われ、「無添加」ということを売りにされている作り手さんもおられますが、果たして、なにが本来の姿なのでしょうか。

本場ドイツでも見られなくなった製法

この本は1920 年以前にドイツで発行された本を、北海道庁が翻訳したものです。
我が家で受け継いできたこの本には、ハム・ベーコン作りに必要な材料として【肉・塩・砂糖・香辛料・硝石】の5点だけが記載されております。昔はこれらの原料をもとに、摂氏4℃の温度で一週間の熟成、薪や大鋸屑を用いて燻製してハムやベーコンを作りました。
その後、硝石そのものに衛生面で問題があることが指摘され、亜硝酸塩が使用されるようになりました。亜硝酸塩は、発色そのものよりも、1.安全面で食中毒(ボツリヌス菌)を抑える役割と、2.嗜好性で燻煙したときの獣臭を見事に消し、3.ハム独特のフレーバーを醸し出す役割があります。

現在一般に販売されているハムでは、大量生産目的の技術、効率重視の設備、保存料の使用などにより昔の美味しい薫り高いハムの味が消えてしまっているようです。【肉・塩・砂糖・香辛料・亜硝酸塩】だけを材料に、氷温熟成で作る私たちのハムは、昔のハムよりも美味しいと言ってくださる方が多いのです。

残していきたい歴史的製法

1930年代以前にハムベーコンを製造していたところは数える程度

世界コンクールで数々の賞を受賞

「賞なんて取らなくてもいい」と長年思ってきました。ある時、一部上場を果たした友人に「ハムベーコンの業界に評価制度などは無いの?」と聞かれ、別にそんなものを取らなくてもいいと話したところ、『それはお客様に対して大変失礼なことでもあると。折角良いものを作っているのであれば、取れて当然。また、賞を取ることで「とっても素晴らしい」と共に喜んでくれるのがファンじゃないのか』と諭されたのでした。

翌年以降、チャレンジさせて頂き、食のミシュランとも呼ばれる国際味覚審査機構による審査で、二年連続三ッ星を受賞。ハムソーセージの品評会で代表的なDLG(ドイツ農業大賞)でも金銀銅賞、北のハイグレード食品としても推薦を受けるほど高い評価を頂いたのでした。

『お客様に本当に喜んでもらえることがしたい』

2010年代は代表である野崎にとって迷走していた10年かもしれません。販路をただ拡大、ものを多く作ることが目標になっていた時期もありました。そのため、工場を大きくすることでそれが出来るかもしれないと錯覚していたのです。
様々なことが重なり昨年秋から新工場着手に向けた動きを取ることにしようと思っていたところ、3月よりコロナ禍が発生。
百貨店の物産展が全面中止。インバウンド需要を今後見込んでいたものもゼロに。それどころか、不良在庫の山になるのではというリスクも抱えて、途方に暮れそうになっていたところ、全国から多くのご利用を頂き難を逃れることが出来ました。そして、教えられたのです。

『私が間違っていた。本当に見るべきは目の前のお客様に喜んでもらう事。工場を大きくするのではなく、より良き製品を作り、より良き環境を作り、より良き事をきちんとお伝えすること。その為の環境整備をしよう』と決めたのです。
偶然にも2015年から複数年にわたって、イタリア、スペイン、フランス、アメリカ・ナパと各地を巡ってきた中、イタリアのアグリツーリズモを将来広げていく目標を持っていたことで、農業体験観光のイメージを持ち得ていたのでした。

広い空のもとでお客様と共に楽しむ

北海道らしいコト、北海道らしいモノづくりと併せてお届けする

『ハムベーコンにあうモノづくりをしよう』

直売店の周りには農地が広がっており、ここを整備すればイタリアやフランスに負けない素晴らしい風景が望めることになる。誰かぶどうを栽培しないだろうかと思っていたところ、友人がぜひやりたいと。

次に、ハムベーコンに合う美味しいパン作りをしたいと10年以上も前から話していた野崎の二男が千葉県の人気店Zopfの修業を終えて帰ってきました。
次に、更に美味しいハムベーコンを使ったお料理を田園風景が望める中で楽しんでもらおうと考え、レストランを改めて設置することを決意。監修には、北海道を代表するようなシェフにしてもらう事に。
次に、ハムベーコンにパンとくれば、チーズが欲しいなと思っていたところ、北海道産チーズの取扱い専門店である某ショップさんにお声がけしたところ、テナント出店してくれることに(週末限定)

一日2組限定、ハムベーコン&肉好きのためのグランピング施設オープン

更に、隣接地にでも宿泊施設を作って、ゆっくりとした景観を望む中、ハムベーコンの仕上げをして頂きつつ、平日工場が稼働しているときに白衣に着替えて貰って、出来立ての商品の味見をしてもらい、自ら作ったハムベーコンを用いてBBQなどを堪能。また、店内にある小さなワインショップで国内外のワインを買ってお楽しみいただきます。また、北海道一美味しい朝食を提供することを目指して、お客様を魅了したいと願っています。